できなかった監視・観測を可能にする光ファイバセンサ

電源不要で、広範囲の対象エリアをモニタリング・検知するパッシブセンサ

光ファイバは、高速インターネット用のケーブルに限らず、さまざまな場面・用途で活用されている。その1つが、光ファイバ自体をセンサとしたり、電気式センサと組み合わせたりすることで、対象物のモニタリング・検知・監視などを行う光ファイバセンサだ。

センサ部分がガラスで構成されており電子部品を用いていないので、給電の必要がない(パッシブセンサ)。また、多点にセンサを接続でき、広範囲にわたる用途で活用できる上、パッシブセンサは長期にわたり堅牢で付帯設備も必要ないため、導入コスト・運用コストを抑えたシステムの構築が可能だ。例えば近年のゲリラ豪雨による被害が多発する中、地域一帯の豪雨状況をいち早く検知できる製品として、光雨量計を製品化、気象庁検定を取得した。テロ、防犯対策では、電気的ノイズによる誤動作の少ない侵入警戒システムとして侵入防止光フェンスセンサなども製品化している。

古河電気工業では安全・安心な社会の実現に向けて、これまで培ってきた光技術(光ファイバ、光部品、半導体レーザなど)を活用した、数々の光ファイバセンシング・システムを提供してきた。風水害・地震などの自然災害に対する広域モニタリングや、構造物・プラント設備の設備診断システムなどがそれにあたる。

自然環境の変化を、離れた場所から知ることができる

光ファイバを利用して電源を供給し、停電時にも画像を約10Km離れた遠隔地に伝送できる「光給電カメラ」は、商用電源のない場所でも、集中豪雨や土石流・土砂崩れなどの自然災害をいち早く検知できる。

従来の監視カメラシステムは、通信ケーブルのほかに電源設備や画像伝送設備を設置する必要があり、災害時の停電や落雷、断線などの影響を受ける恐れがあった。「光給電カメラ」は、光ファイバに接続するだけで遠方を監視でき、電源や映像伝送機器などの付帯設備は不要。光雨量計、光風速計、光水位計、光フェンスセンサなどのパッシブセンサは落雷や停電の影響を受けないなど、自然災害に強く信頼性が高い。導入コスト、故障率を低減しつつ対象エリア一帯の災害状況を監視できる。

また、これまでは海中の水温や潮位を測定する際、連続してデータを測定するにはバッテリなどの電源が必要であった。しかし、バッテリを搭載すれば必ず交換作業が周期的に発生する。そこで古河電気工業は、電源を必要としない光水位計や光ファイバによる電力供給が可能な光給電システムを製品化。電気式センサと組み合わせて、過酷な環境下でも長期間安定した計測を可能にした。

現在は海水温に加え、海中の水素イオン濃度・溶存酸素濃度・塩分などの水質観測結果を、遠隔地から連続的に監視できる。海流・水温・気象状態などが水質に与える影響や、水質変化の予測が可能となり、水産(養殖)施設・港湾施設などで、効率的な漁業や防災・減災への応用が期待される。

光ファイバセンサの今後の展開について、古河電気工業のファイテル製品事業部門アクセスネットワーク部、小川雅英は次のように語った。
「過去に、さまざまな電子機器を組み合わせて、屋外・広域のモニタリングシステムを構成しましたが、各種電気式センサとデータ通信装置との接続は、落雷対策として光ファイバで接続し絶縁していました。このため、各々の装置には個別に電源を付帯する必要がありましたし、通信装置を含め電子部品数も増加することから、電気式センサシステムは過酷な環境下や停電・落雷に対して根本的な脆弱性を持っていたのです。光ファイバセンサには、これらの根本的な脆弱性がありません。防災対策をはじめ社会システムのICT、IoT化、構造物老朽化対策などのソリューションとして、活用・普及を今後も進めていきたいと思います」