リサイクル樹脂製のクリーンなケーブルトラフを世界へ

軽量・耐久性・環境性能に優れたケーブルトラフ

ケーブルトラフは、電力・通信に用いられる各種電気配線用ケーブルを収容しておく、樋型の開閉式保護管だ。主に鉄道の線路などに沿って敷設されている。これまでは鉄筋コンクリート製のケーブルトラフが主流だったが、鉄筋コンクリート製ケーブルトラフは重量があり、運搬や工事の施工に膨大な負荷がかかっていた。また、割れやすく、塩害・融雪剤などで腐食しやすいなど、耐久性などの点でも問題があり、改善が望まれていた。

そうした問題を解消できる新たなケーブルトラフを、古河電気工業が世界に先駆けて開発した。廃プラスチックを主原料とした、リサイクル樹脂で製造された「グリーントラフ」は、抜群の環境性能を誇る。重量はコンクリート製トラフの約1/4にまで軽減。荷重や衝撃に強く、施工作業者による運搬・工事の負担低減と大幅な工期短縮を実現した。

さらに耐候性・耐腐食性にも優れており、雨や雪などで劣化しにくく長寿命。その一方で、丸ノコ・手ノコなどでの切断をはじめ、加工が容易だ。これまで、日本各地の鉄道や高速道路、太陽光発電所、大型プラント設備などで幅広く採用されてきた実績を持つ。

イギリスでのインフラ整備プロジェクトに採用

2015年、その「グリーントラフ」が、鉄道発祥の地・イギリスで進められている鉄道インフラ整備プロジェクト(CP5:2014-2019)において、本格的に採用された。2015年9月末の時点で、約100kmぶんの「グリーントラフ」を出荷。イギリスではこの後も、新高速鉄道計画(HS2)を含めて数百km規模までケーブルトラフ市場が拡大する見通しだ。

古河電気工業のAT・機能樹脂事業部門では今回の受注を次のように語った。
「グリーントラフを認めてもらうため、製品に関するデータ提出のみならず、試験施工を提案し、鉄道とは関係のない場所での長期敷設、次に鉄道車両通過による振動の影響を受ける線路脇での試験施工と段階を経て、実物の製品を現場で体感していただくことにより、信頼を得て、採用を勝ち取ることができました。今では、作業者の安全も考え、鉄道会社はコンクリートトラフではなく、軽量で作業性のよいグリーントラフを推奨しているようです。」

これに類似したインフラ整備プロジェクトは全世界で進行しており、施工性・耐用性・環境性に優れた「グリーントラフ」の需要は、今後も世界各国で高まっていくものと予想される。古河電気工業では、こうした市場の動きに柔軟に対応していく方針。コンクリート製ケーブルトラフでは設置が不可能な、高所や狭所、曲所にも施工できるよう、「グリーントラフ」の改良・開発に取り組んでいく。