高放熱高深絞り銅合金の開発

IoT化の発展を受けてインフラやモバイル機器等に用いられる各種電子部品の高周波化、大電流化、小型化が進んでいます。そのような環境下ではEMC(電磁ノイズ)対策、熱対策、部品の剛性が重要になります。当社が開発した銅合金条EFHD®(エフエイチディー)シリーズは、独自の組織制御技術の活用によって、優れた強度、導電率、熱伝導率を有するとともに高い絞り加工性による部材の一体構造化を提供します。これにより、機械、電磁波双方に対する強固な堅牢性と優れた放熱性の両立を実現します。

技術開発の取り組み

EFHD®シリーズは主に、スマートフォンなどに使われるシールドケースやカメラモジュールケースや各種コネクタのホールドダウンで用いられています。ケースにおいては、高い熱伝導性によりケース内部の熱を効果的に外部に逃がす効果が期待でき、CPUの高速動作の維持などに有効です。また、深絞り性が可能とする部材の一体構造化により、高い電磁波シールド効果を提供するほか、ケース隙間を後工程でふさぐ場合に比べてコスト優位性を保ちます。各種コネクタのホールドダウンにおいては、高導電率が提供する高効率通電により高速データ通信のエネルギーロスを低減し、深絞り性が複雑形状と堅牢性の具備を提供します。

スマートフォンに搭載されるEFHD®シリーズの主な利用用途として、カメラモジュールケース、基板上の電磁波シールドケース、コネクタ(シールドシェル部やホールドダウン部)等があります。

シールドケースへ適用例の場合、従来のシールドケース材であるSUSや洋白(熱伝導率10~20 W/m/K)に比べてEFHD-64(熱伝導率301 W/m/K)は熱源直上の温度を大きく低下させ、温度上昇範囲も縮減できます。

SUS304とEFHD-64で製造したシールドケース材の
温度分布の比較(シミュレーション結果)

また、シールドケースを絞り加工(隙間無し)で製造した場合、曲げ加工(隙間有り)と比較して、電磁波を高いレベルで遮断できます。(電磁波はスマートフォンで使用される3.3 GHz)。

曲げ加工(隙間有り)と絞り加工(隙間無し)で製造した場合の電磁波の漏洩比較(シミュレーション結果)

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