通信機器の軽量化、材料から見直しませんか?
次世代通信技術の進展に伴い、通信機器の設計には「高周波対応」「設置自由度」「環境負荷低減」といった複数の要件が求められています。特に、6G時代に向けた通信インフラでは、機器の小型・軽量化とともに、持続可能性への配慮が不可欠です。 古河電工が開発したSCBは、従来のソリッド樹脂や金属素材では達成困難だった低密度・高機能・環境配慮を同時に実現する革新的な材料です。本ページでは、SCBの技術的特長と応用可能性についてご紹介します。
SCBが解決する次世代通信機器の課題
重量を低減:機器重量の軽量化に貢献
次世代通信機器では、ミリ波・サブテラヘルツ帯などの高周波数帯域が使用されるため、通信距離が短くなり、基地局やアンテナの分散配置が不可欠となります。その結果、壁面・天井・街灯・車両など、従来とは異なる多様な場所への設置が求められます。
しかし、こうした場所では「そもそも設置スペースが限られている」「機器が重いと支持具が大型化し、設置場所の確保が困難になる」「設置できたとしても作業負荷が大きくなる」といった課題が顕在化しています。
SCBは、発泡技術により比重0.3〜0.6程度の低密度化を実現。アルミなどの金属材料よりも軽量であることはもちろん、従来のソリッド樹脂(比重1.0以上)と比較して約70%以上の軽量化が可能です。
さらに、SCBは構造的強度を保持しつつ軽量化を達成しており、筐体や基板としての使用にも耐えうる機械的特性を有しています。これにより、限られたスペースへの設置や、支持具の小型化、作業負荷の低減を実現し、移動体(自動車、ドローン、ロボット等)への搭載時にも、燃費や航続距離の向上に貢献します。
樹脂使用量の低減:SDGsへの貢献
近年、SDGs(持続可能な開発目標)への対応が企業活動において重要視されており、材料使用量の削減はその中でも特に注目される課題です。
環境負荷低減は、製品開発におけるグローバルスタンダードとなりつつあり、国際電気通信連合(ITU-R)が策定するIMT-2030(6G)要件では、「サステナビリティ」が明確に盛り込まれており、材料選定においても環境配慮が求められています。
SCBは、発泡構造により樹脂使用量を大幅に削減可能です。下のグラフに示したように、PET樹脂を例に挙げると約100gの重量がSCBの発泡構造により約20gとなり、1/5に軽量化することができます。これは、単に軽量化するだけでなく、原材料の使用量そのものを減らすことに直結し、製造時のCO₂排出量削減にも寄与します。
また、SCBは熱可塑性樹脂をベースにした発泡構造であるため、リサイクル性にも優れており、循環型社会の構築に貢献します。従来のソリッド樹脂では困難だった「軽量・強度・環境配慮」の三要素を、SCBは高次元でバランスさせています。
(300mm × 300mm × 1mmの板材での比較)
SCB技術の優位点と応用分野
機器の軽量化
SCBの軽量性と環境性能は、通信機器の設計において以下のようなメリットをもたらします。
- 機器の軽量化により、設置場所の自由度が向上。高所や狭所、移動体など、従来困難だった場所への設置が可能。
- 移動体への搭載時には、燃費や航続距離の向上に貢献。
- 樹脂使用量の削減により、SDGsへの貢献と企業の環境対応力を強化。
想定される応用分野
次世代通信基地局(5G/6G)
高周波化により基地局の数が増加し、設置場所の確保や設置作業の負荷、コストの増大が課題となっています。特に、機器重量が重いと支持具が大型化し、設置可能な場所が限られるという問題があります。
SCBは、従来の金属やソリッド樹脂に比べて大幅な軽量化を実現しており、これらの課題を解決。さらに、レドームとして使用すれば高周波の電波透過性を確保でき、基板材料として使用すれば高周波信号の伝送特性にも優れるため、通信性能の最適化にも貢献します。
車載レーダー・センサー
自動車の電動化・軽量化が進む中、搭載機器の軽量化は燃費や航続距離に直結する重要な要素です。SCBはその軽量性により、車両全体のエネルギー効率向上に寄与します。さらに、レドームとして使用することで、広角度でのセンシングが可能となり、安全性や自動運転性能の向上にも貢献します。
ドローン搭載レーダー・通信モジュール
ドローンにおいては、機器の重量が飛行時間や機動性に大きく影響します。SCBの軽量性は、航続距離の延長やペイロードの拡大に直結し、より多機能なドローン設計を可能にします。また、レドームとしての使用により、広範囲なセンシングや通信性能の向上も期待できます。
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「Smart Cellular Board」「SCB」は古河電気工業株式会社の登録商標です。
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