事業等のリスク

当社グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、発生可能性と影響度の双方が中以上の重要なリスクをリスク項目として以下に示します。さらに、経営上の重要課題との関連性により、リスク項目を「経営視点のリスク」と「オペレーショナル視点のリスク」に分類しています。特に経営視点のリスクは、それぞれ単独のリスクではなく、相互に連関したリスクであるとの認識のもと、各リスクに対する取組みを進めています。

なお、文中における将来に関する事項は、2026年3月31日現在において当社グループが判断したものであります。

関連する経営上の重要課題
  • 情報をベースとした社会の創出
  • 社会課題解決に資する新しい事業への挑戦
  • 事業・製品ポートフォリオの最適化
  • 労働生産性の向上
  • 人的資本の最大化
  • ガバナンスの強化・リスク耐性の向上

経営視点のリスク

事業ポートフォリオ

リスクの内容
  • 事業構成が経済動向や市場環境の変化に対応できないことによる、収益性・成長性の停滞・悪化
  • M&Aや外部との提携後に発生した市場環境の悪化等による、当初の期待水準に満たない収益又は効果
主要な取組み
  • 経営会議・取締役会等での定期的な事業ポートフォリオの構成の確認・検証、必要に応じた見直しの討議・実施
  • 買収・提携の目的明確化と資産内容・リスクの事前把握
  • リスクと収益性を踏まえた適切な投下資本額での買収・提携
  • 買収・提携後の投下資本の早期回収

新事業の創出

リスクの内容 新事業のテーマ探索及び技術開発と営業機能との連携不足から市場ニーズとの乖離が生じることによる新事業創出の遅延
主要な取組み 新事業創出チームに営業機能を組み込み、テーマ探索及び技術開発と市場検証を一体で推進する体制の構築

気候変動(カーボンニュートラル)

リスクの内容
  • 移行リスクとして、各国の温室効果ガス排出削減目標の引き上げ、政策による炭素税の負担増等による製造コストや材料調達コストの上昇
  • 気候変動対策が不十分であることによるサプライチェーン、製品・サービス・労働市場からの排除
  • 気候変動による洪水・渇水リスクの未認識による工場操業の停止
主要な取組み
  • 温室効果ガス排出削減についてバリューチェーン全体でネットゼロを目指すことを反映した環境ビジョン2050の改定、環境目標2030に則った削減の実行
  • 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った気候移行計画の策定と情報開示の実施
  • 日光地区の水力発電利用に加え、国内外での太陽光発電の設置と購入電力の再生可能エネルギーへの転換
  • 気候変動による洪水・渇水リスクの把握と対応策の策定

人材・組織

リスクの内容
  • 新規事業創出に向けた専門性を持つ人材や事業ポートフォリオマネジメントができる人材の不足
  • 人材獲得や定着、育成、多様性が不十分なことによる人材の質的量的な不足
  • 企業の持続的な成長の原動力である従業員エンゲージメントの低下
  • 経営戦略と組織の不整合による人的資本の毀損
主要な取組み
  • 「古河電工グループPeople Vision」に基づく、個人と組織が成長ベクトルを合わせてともに成長し人材・組織の魅力を高める「人材・組織実行力」強化施策の実施
  • ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン活動及び働き方改革の推進
  • 従業員エンゲージメントの要素を含む人材・組織実行力調査によるモニタリングとHRBPによる現場主導の向上施策実行
  • 経営戦略と連動したジョブ型人材マネジメント基盤(採用・配置・育成)の整備と適正な運用

政治経済情勢

リスクの内容
  • 国際紛争の影響拡大に伴う、国家群間での経済制裁の影響等によるサプライチェーンの寸断。特定の購入先への供給依存による供給不足、供給停止
  • 各地域における政権交代や政策転換に伴う、関税政策や経済安全保障政策等の法規制の変更・強化の影響によるグローバル分業体制の見直し
  • 景気悪化や顧客の設備投資、購買施策の変化による需要減退の影響が事業全体に及ぶことによる収益の低下
  • 競争激化による製品及びサービスの優位性の低下
主要な取組み
  • サプライチェーンの多重化(購入先の複数化、製造拠点の分散)、在庫数量の適正化、長期契約による安定調達
  • 国際物流の主要ルートにおける潜在リスクの把握
  • 政情変化や有事を想定したリスク分析と対応方針の策定
  • 主要ビジネスの基盤強化による景気悪化に対する耐性強化、顧客動向や受注状況の定期的な把握・検証による急激な需要変動に対応できる体制の確立
  • 価格競争力の維持強化に向けた効率的かつ合理的なものづくり体制の推進、高付加価値品の生産、製品ポートフォリオの最適化への積極的な取組み

人権・労働慣行

リスクの内容 企業としての人権尊重に対する責任を果たせず、潜在的又は実際に人権への負の影響が生じることに伴う、サプライチェーン、製品・サービス・労働市場からの排除
主要な取組み
  • 国連のビジネスと人権に関する指導原則が企業に求める3つの要件である「人権方針の策定」、「人権デューディリジェンスの実施」、「救済メカニズムの構築」に沿った取組みの推進
  • 当社グループ人権方針に基づく、人権を尊重した事業活動の推進
  • 当社グループの従業員を対象としたコンプライアンス意識調査結果等をふまえた改善策や人権リスクに対する教育の実施
  • 主要取引先を対象とした、「古河電工グループCSR調達ガイドライン」に基づく自己評価調査(SAQ)の実施
  • 責任ある鉱物調達の推進
  • 救済メカニズムとしての内部通報制度及び一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)の活用

オペレーショナル視点のリスク

災害・感染症等の影響

リスクの内容
  • 異常気象によって起きる大型台風等による建物被害や洪水による工場操業の停止
  • 大規模な地震や津波、火災、感染症大流行等による納入先、調達先のサプライチェーンの寸断
  • 従業員等の大規模クラスター発生による事業継続不能
主要な取組み
  • ISO22301による事業継続マネジメント(BCM)の促進
  • 事業継続計画の策定・ブラッシュアップ、安否確認システムの有効活用
  • 耐震性と安定した通信環境が確保された施設におけるデータセンタの設置
  • サプライチェーンの多重化
  • 納入先、調達先の製造拠点調査
  • 従業員等の在宅勤務、会議等でのリモート活用

品質管理

リスクの内容 製品及びサービスでの不具合の発生等による将来に予期せぬ損失補償の発生(特に、電力ケーブル、通信ケーブル、自動車用部品等の関連製品で、不具合等の内容により多額な追加コストの発生)
主要な取組み
  • お客様の期待する品質の実現を目指し、不具合の未然防止を図る取組み、並びに問題解決力を向上する活動の継続
  • 品質管理に関するガイドラインをベースとした品質マネジメントシステムの継続的な強化
  • 損害賠償請求に備えるための生産物賠償責任保険や生産物回収費用保険等への加入
  • 当社グループの損失補償責任を限定する契約条項の検討

法令違反等(注)

リスクの内容
  • 事業展開する国内外の法令や規則に関するコンプライアンス違反
  • 事業展開する上で適用される国内外の法令改正、規制当局から受ける規制強化(恣意的執行を含む)や法令解釈の厳格化による、事業制限や費用の増加等
  • 法令違反等の事象が生じた場合の、各規制当局からの処分・制裁、取引先等関係者からの損害賠償請求、社会的評価の悪化等
  • 禁輸国への輸出による行政処分、外国為替法違反、米中関係悪化による米国及び中国における輸出管理規則・法令の域外適用リスク
  • 海外拠点での不適切会計や粉飾決算
  • 各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更や移転価格税制等による税金コストの発生
  • 各国の税務当局との見解の相違等による追加の税金コストの発生
主要な取組み
  • 「古河電工グループ パーパス」、「Core Values」、「古河電工グループCSR行動規範」を倫理法令遵守の基本とするコンプライアンス体制の構築
  • 毎年の定期的なコンプライアンス自主点検とコンプライアンスセミナーやEラーニングを通じた、競争法上の規制や贈収賄防止等のテーマについての当社グループ内への教育、各所管部門による法改正情報の発信等
  • 内部通報制度の運用によるコンプライアンス違反の防止、早期の発見及び是正
  • 安全保障貿易管理や関税等に関して、関連する部署への教育及び内部監査の実施、海外輸出管理法令の専門弁護士との提携
  • 国内領域の物流コンプライアンス違反の防止、物流効率化を目的とした特定荷主義務の履行
  • 東南アジアや中国における地域統括会社による当該地域内の拠点における調達、経理、人事、法務等の業務統括の実施
  • データアナリティクスを活用した財務分析による統制の実施
  • 税務に関する基本方針を定めることによる税務コンプライアンスに対する意識向上
  • 各国における税法の遵守や税制や税務行政の変更への対応策の実行
  • 当社は、自動車用部品カルテルに関し、ブラジル競争法当局の審査を受けております。また、米国での一連の自動車用部品カルテルによる損害の賠償を求める集団訴訟等において、当社や当社連結子会社がその被告となっております。このほか、自動車メーカー等の顧客に対して、当社又は当社関係会社が民事賠償金を支払う可能性があります。なお、これまで複数の原告・顧客等との間で和解が成立し、上記継続案件の当社決算への潜在的な金額的インパクトは大きくないものと認識しております。今後も、これまでと同様、顧問弁護士とも連携しながら、早期解決、損失の最小化に向けて対応してまいります。また、上記継続案件はいずれも自動車用部品カルテルを含む過去の競争法違反行為に関するものであり、現時点においてはこれらの行為は行われておりません。

原料及び燃料価格の変動

リスクの内容 需給関係や投機的取引、世界情勢等の変動による、銅・アルミ等の非鉄金属やポリエチレン等合成樹脂及び燃料である重油やLPG、LNG価格の急激な変動
主要な取組み
  • 市況を反映した非鉄金属、合成樹脂、燃料価格等の製品販売価格への転嫁
  • 先物取引を利用したヘッジ
  • 生産活動におけるコスト低減や省エネ化
  • 複数購買化による価格変動リスクの分散

情報システム・情報セキュリティ

リスクの内容
  • サイバー攻撃や不正アクセス等の外的要因や人為的要因等に起因する情報流出による不正使用、システム障害
  • レガシーシステム利用によるセキュリティリスクの増加
主要な取組み
  • 情報セキュリティ基本方針のもと、グループ全体へのセキュリティガバナンス強化、教育・支援活動
  • ゼロトラスト視点でのネットワークセキュリティ強化等の対策による情報資産の保護
  • レガシーシステム更新の中期的な取組みの実施

為替・金利・株価変動

リスクの内容
  • 輸出入等の国外取引、外貨建債権・債務の円換算金額の変動
  • 在外連結子会社等の現地通貨建の個別財務諸表の円換算金額の変動
    (米ドルに対し1円円高につき年間で約5億円の減益を予想)
  • 金利上昇による資金調達コストの増加
    (当連結会計年度末の有利子負債残高は3,167億円)
主要な取組み
  • 先物為替予約等の活用
  • 外貨建取引額のバランス化
  • 長期固定金利調達の活用による金利上昇時の資金調達コスト増加抑制
  • キャッシュマネジメントシステム(CMS)を通じた資金効率改善や、財務体質の改善方針に基づく有利子負債の削減

研究開発・知的財産

リスクの内容

(研究開発)

  • 技術開発の遅れ、他社新技術による代替製品の台頭
  • 研究開発データの改ざんによる訴訟、認証のはく奪、会社、製品の評判低下

(知的財産)

  • 知的財産における第三者の権利侵害に関する交渉や係争、第三者との不十分な技術契約に伴う紛争により、事業における直接的な損害や機会損失が発生
  • 技術の流出や第三者からの模倣による企業競争力の低下
主要な取組み
  • 高い専門性を持つ人材の確保、育成
  • 社外との共創による、技術開発の優位性の確保
  • 設計開発段階からの知的財産権取得、他社特許調査や他社による権利行使抑制のカウンター特許出願
  • 技術資産の創出と保全(機密、社外秘、部外秘の区分、電子データ含む情報管理の徹底)、知的財産関係の法令遵守のための教育、秘密保持等の契約書締結

従業員の安全・衛生

リスクの内容
  • 労働災害、交通事故、疾病等による、従業員の死亡、就業不可、障害の残存、長期休業、体調不良
  • 製造設備の維持更新投資計画の実行遅れを背景とした、老朽設備の故障に起因する災害
主要な取組み
  • 安全推進活動の3本柱(安全人間化教育による安全知識の付与と実践、本質安全化活動による設備の安全化推進、安全管理レベルの向上による安全組織の構築)の確実な実践
  • 産業保健中期計画に基づく年度ごとの衛生管理指針による、ヘルスリテラシー向上・メンタルヘルス対策・身体機能向上施策・睡眠対策・生活習慣改善・熱中症対策及び化学物質管理体制構築施策の各拠点での展開
  • リスクの高い老朽化設備に対する維持更新投資計画の適正な実行

工事プロジェクトの採算悪化

リスクの内容

(国内外共通)

  • 工事途中での設計変更、建設資材及び労務費の高騰
  • ケーブル敷設工事における災害、疫病の発生、海洋条件や台風等天候の影響による追加費用の発生
  • 重大な瑕疵や事故の発生、それに伴う工期遅れが生じた場合の、修復費用や損害賠償金の支払、長期間に渡る瑕疵補修保証の延長
  • コンソーシアムを組成した場合におけるパートナー企業のプロジェクト遂行能力の不足、分担業務の不履行等が生じた場合、予想外の大幅な費用負担の増大、追加費用の発生

(海外)

  • 海外工事案件における当該国での法規制の変更や政情不安、為替レートの変動
主要な取組み
  • 物品・工事それぞれの責任分解点・仕様と保証範囲の厳格な見極め、プロジェクト固有のリスク分析、合理的な条件での契約を締結する活動の強化
  • 遂行段階におけるプロジェクトの進捗、採算状況等を適切にモニタリングすることによるリスクの低減
  • 建設工事保険等の付保によるリスクヘッジ
  • コンソーシアム組成時の契約における責任関係の明確化、パートナー所管を含む工事プロジェクト全体の工事進捗管理の徹底

環境汚染・環境規制

リスクの内容
  • 製造工程における有害物質の漏洩による環境保全上の問題の発生や、環境関連法令の改正等による新たな設備投資や対策費用の発生
  • 土地の使用・処分等に対する制限
  • 過去の製造状況等に伴う土壌汚染やアスベスト・PCB等の有害物質の処理について、関連法規制の強化等による追加の対策費用の発生
  • 世界各国におけるRoHS指令やREACH規制等の製品含有化学物質に関わる規制に違反した場合の製品リコール、生産・販売中止等の損失・費用の発生
主要な取組み
  • 当社グループの生産拠点における、環境マネジメントシステム(ISO14001)に基づく、事業活動に関連する各種環境関連法規制の遵守と保全対策等の徹底
  • 製品含有化学物質に関わる規制への対応としての、CSR調達ガイドライン及びグリーン調達ガイドラインの発行とパートナーの遵守状況の把握、並びに規制強化に対応した定期的な当社グループ内調査の実施

固定資産の減損

リスクの内容 市況や事業環境の悪化による収益性低下による固定資産の減損
主要な取組み
  • 投資委員会や経営会議等における投資計画の適切性に関する審議
  • 投資後の定期的なモニタリング及びフォローアップ

資金管理

リスクの内容

(資金調達)

  • 金融環境悪化により、資金調達困難に陥る可能性と資金調達条件の悪化
  • 成長投資の拡大に伴い資金調達額が増大し、資金調達に制約が発生する可能性や資金調達条件が悪化する可能性

(与信管理)

  • 取引先の財政状態や資金繰りの悪化に伴い、売掛債権が回収困難となることによる貸倒損失の発生
主要な取組み
  • 多様な資金調達手段の確保と、返済時期の分散化
  • コミットメントラインの設定と一定水準の手元資金の確保
  • 資金調達コスト低減と資金調達の安定性を踏まえた適切な長期借入割合の確保
  • 財務体質の改善
  • 与信管理規程に基づく、取引先各社の与信状況の定期的モニタリングと、グループ関係会社内での与信情報共有等による売掛金回収事故と回収遅延リスクの最小化

開示・ブランド

リスクの内容
  • 適切な情報開示がなされないことによる、信頼の低下
  • 一貫性あるコミュニケーションの不足による認知機会や、イメージ向上機会の損失
主要な取組み
  • 重要事象の一元的な集約・管理及び重層的な内部チェックを通じた適時適切な情報開示
  • 統一的なメッセージの複数メディア活用による発信強化
  • グループ統一ブランド運用による認知・イメージ向上

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