空間クロスコネクト装置とマルチコアファイバ光増幅器からなる大規模な空間多重光ネットワークの実証実験に初めて成功
2025年3月28日
国立大学法人香川大学
株式会社KDDI総合研究所
日本電気株式会社
santec AOC株式会社
古河電気工業株式会社
なお、本研究開発は、国立研究開発法人情報通信研究機構(本部:東京都小金井市、理事長:徳田 英幸、以下 NICT(エヌアイシーティー))の「Beyond 5G研究開発促進事業」ならびに「革新的情報通信技術(Beyond 5G (6G))基金事業[6]」に係る委託研究「Beyond 5G超大容量無線通信を支える空間多重光ネットワーク・ノード技術の研究開発(JPJ012368C00201、JPJ012368C07801)」(代表研究者:香川大学)に基づいて実施されました。
背景
内容
(2) 光増幅技術(KDDI総合研究所、NEC、古河電工):
- 空間多重・分離器(ファンイン・ファンアウト:FIFO[11])を介することなく励起光をエルビウム添加4コアファイバに注入することで、低雑音な光増幅を可能としたFIFOレス4コアファイバ増幅器(KDDI総合研究所)(図4)
- 増幅する光信号の伝搬方向をコア毎に設定可能な、全方向7コアファイバ増幅器(NEC)(図5)
- 19本のコアを一括で励起可能な、クラッド励起[14]19コアファイバ増幅器(古河電工)(図6)
(4) 光配線技術(古河電工):高次モードとコア間クロストーク、曲げ損失を最小化した19-CFコード/コネクタ、ならびに19-CF空間多重器(ファンイン・ファンアウト:FIFO)などMCF光デバイス(図8)
成果がもたらす効果
用語の解説
[1]空間分割多重光ネットワーク:現在の光ネットワークは、光ファイバ中に波長多重された光信号を光ノードにおいて波長単位で経路振り分けが行われています。空間多重光ネットワークでは、マルチコアファイバの複数コアを用いた空間多重により伝搬された光信号を、空間クロスコネクト装置にてコア単位で経路振り分けを行います。空間多重光ネットワークは、波長単位よりも大きな粒度であるコア単位で経路振り分けすることで、超大容量の光ネットワークを経済的に実現可能であると期待されています。
[2]空間クロスコネクト(SXC)装置:マルチコアファイバ(MCF)を入出力ポートに配備した光ノードの一種であり、マルチコアファイバ(用語の解説[3])の複数コアを用いた空間多重により伝搬された光信号を、行き先に応じてコア単位で経路振り分けします。用語の解説[10]で説明するコア選択スイッチ(CSS)を用いて構築することで、低損失かつ低コストのSXCの実現が期待されます。
[3]マルチコアファイバ(MCF):現在、使用されている光ファイバは、髪の毛ほどの太さのガラス繊維の中にコアと呼ばれる光の通り道が1本だけ配置されています。マルチコアファイバは1本の光ファイバの中に複数本のコアが配置されており、光ファイバ1本当たりの伝送容量の大幅な増加(コア数倍)が期待されています。
[4]光増幅器:光伝送路を通過することで減少した光信号のパワーを増幅する装置。本実験で使用した光増幅器は、エルビウムイオンなどを添加した光ファイバ内のコアに、光信号波長よりも短い特定の波長の励起光を光信号とともに入力することで光信号を増幅するエルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)です。
[5]Beyond 5G(6G)無線通信サービス:第5世代無線通信サービス(5G)の特長(高速・大容量、低遅延、多数端末との接続)のさらなる高度化に加えて、空・海・宇宙への利用領域の拡張、超低消費電力、超高信頼などの特長を備えることが想定されています。Beyond 5G無線通信サービスは、第6世代(6G)無線通信サービスとも呼ばれます。
[6]革新的情報通信技術(Beyond 5G (6G))基金事業:NICT「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業ホーム」
[7]ペタビット毎秒:ペタ(記号P)は単位の前に付けられる接頭語の一つであり、10の15乗を表します。1ペタビット毎秒(Pb/s)は、1秒当たり、10の15乗ビットのディジタル信号を送信することを意味します。
[8]非結合マルチコアファイバ(非結合MCF):マルチコアファイバ中に複数配置されているコアの間で光パワーの結合が非常に小さく、事実上、それぞれのコアが独立した光伝送路とみなせるマルチコアファイバ。
[10]コア選択スイッチ(CSS):MCFを入出力ポートに配置した1✕N光デバイス。入力MCFポート中の任意のコアを任意の出力MCFポートの同一番号のコアに出力することができます。
[11]FIFO(ファンイン・ファンアウト):マルチコアファイバ内の各コアをコア数分の単一モードファイバに空間的に多重・分離する光デバイス。
[12]FIFOレス4コアファイバ増幅器:4コアファイバの側面研磨を利用した光カップラを採用することで、励起光をエルビウム添加4コアファイバに注入することを特徴とする4コアファイバ増幅器。FIFO(ファンイン・ファンアウト)(用語の解説[11] 参照)による過剰損失を回避できるので、低雑音な光増幅を実現することが可能になります。
[13]空間チャネル:送信局から受信局までの経路上の各MCFリンク内のコアをSXCで接続して設立した、光信号の物理的な通信路。
[14]クラッド励起:エルビウム添加マルチコアファイバ(MC-EDF)としてガラスクラッドの外側にポリマークラッドと被覆があるダブルクラッド構造を採用して、テーパー加工したマルチモードファイバをMC-EDFに巻きつけることで、マルチモード半導体レーザで発生させた励起光をMC-EDFの各コアに結合させる、励起方法のこと。
[15]マルチコアファイバ(MCF)の極性:マルチコアファイバ(MCF)のそれぞれの端におけるコア配置が、左右反転すること。
[16]コアセレクタ(CS):入力MCFポートと出力単一モードファイバ(SMF)をもつ光デバイス。入力SMFのコアを出力MCF中の任意のコアに出力することができます。コア選択スイッチ(CSS)(用語の解説[10]参照)と一緒に用いれば、クライアント光信号を、任意の方向のマルチコアファイバリンクの任意のコアに接続可能な、高い接続自由度をもつ空間クロスコネクト装置(用語の解説[2]参照)が実現できます。
講演論文
著者:1Kosuke Komatsu, 1Shohei Beppu, 1Daiki Soma, 1Yuta Wakayama, 1Noboru Yoshikane, 2Masahiko Jinno, and 1Takehiro Tsuritani
所属:1KDDI Research, Inc., 2Kagawa University,
講演番号:M3F
講演日時:Monday, March 31, 2025
講演国際会議:Optical Fiber Communication Conference (OFC) 2025
著者:1Takumi Tani, 2Daiki Soma, 3Ryohei Otowa, 4Yusuke Matsuno, 1Kyosuke Nakada, 2Kosuke Komatsu, 3Yuji Hotta, 4Tsubasa Sasaki, 1Rika Tahara, 2Shohei Beppu, 4Koichi Maeda, 1Takuma Izumi, 2Yuta Wakayama, 2Noboru Yoshikane, 2Takehiro Tsuritani, 3Yasuki Sakurai, 4Ryuichi Sugizaki, and 1Masahiko Jinno
所属:1Kagawa University, 2KDDI Research, Inc., 3santec AOC corporation, 4Furukawa Electric Co., Ltd.
講演番号:M3F
講演日時:Monday, March 31, 2025
講演国際会議:Optical Fiber Communication Conference (OFC) 2025
関連ニュースリリース
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Tel: 087-864-2242
E-mail: jinno.masahiko@kagawa-u.ac.jp
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E-mail: omori.keiko@kagawa-u.ac.jp
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